人生の大半は仕事に悩まされるのです・Ⅱ
「毛」
この単語には色々な意味がある
私にとっての「毛」といえば、まず「毛髪」
そして「眉毛」「まつげ」
美容師にとっては、毛髪が伸びてくれないことにはビジネスが成り立ちません
そして、メイクするにあたって「眉」も「まつげ」も重要な部分であります
本来「毛」は身体を守るために生えるものです
毛髪は頭蓋骨や顔を守るため、眉は頭から水や汗が流れて目に入らないためにあるし、
まつげは目を守るため・・・そして・・・体のあちこちの摩擦の多い部分には皮膚を守るために、色々な「毛」が活躍しているのです
だがしかし・・・
本来の目的とはかなり違った意味で、毛は私たちを悩ませたり喜ばせたりしています
頭を守る「毛髪」は遺伝や暑さ寒さや外側からの物理的刺激によって、人それぞれに
形状も硬さも分量もかなり違ってきます
そういうことを無視して、私たちはファッションとしてヘアスタイルをつくっていきます
まつげに関しても、昔は「つけまつげ」
今は「マツエク」(まつげのエクステンション)が普通になっていて誰も彼もが不自然にふさふさバサバサと瞬きするようになりました
厚化粧は昔から敬遠されがちですが、つけま、マツエクはどうでしょう?
私から見ると、カツラもヘアのエクステもつけまつげもマツエクも反則で
自前じゃない不自然さが感じられます
ですがこれも、ビジネスとしては成り立っていて、人は皆「コスプレ」や「パロディ」「変身」が大好きなのだということが最近わかってきました
「ヘアカット」と「髪を切る」ということは同じではない
ヘアカットはスタイルを作るために繊細でクリエイティブな感じ
髪を切るのは、伸びたからしかたなく切ってすっきりさせたい
もちろんどちらも美容師の仕事ですが・・・・
薬品を使ったり色々な技術を用いて、本来の状態とは全く違う状態にしてしまうといった意味では「美容整形」とさほど違いは無いのです(料金は全く違いますが)
料金やイメージは違いますが、整形したり歯の矯正をしたりコンタクトレンズをしたりと、ヘアスタイルを変える事は同じようなことだと思います
それだけ外見や生活に変化をもたらす事なのに・・・
なぜ美容料金だけが極端に安いのでしょう?
1000円でカットが出来たりしてしまうなんて、どういうことでしょう?
美容師の資格は「国家資格」です
資格が無ければ仕事をしてはいけません
なのに、なぜ・・・そんなに安い価格で仕事をしてしまうのでしょう
業界全体の価値が下がってしまうというのに
ドラッグストアには「カラーリング用」の薬剤がものすごい広い場所を占領して商品が並べられています
ヘアカラーも数百円で自宅で手軽にできるという、変なイメージが植えつけられてしまいました
業務用のカラー剤を作っているメーカーが、ホームカラーの薬剤をドラッグストアで販売するといった、矛盾したことをやっていたり・・・
ものを売るという事に関して今や、「何でもあり!」のようです
アプリで何でも簡単に個人売買、があたりまえなのですから
それでもやっぱり、かっこいい・かわいい・すてき・個性的なヘアスタイルを
作り、撮影し、発表し続ける美容師たちがたくさんたくさんいます
時代が変わっても、そういう風に表現し続ける事が大切なのだと思います
何だか話が散らかってまとまりがなくなってしまいましたが・・・
とにかく、仕事にまつわる矛盾したあれこれに、私たちは日々悩まされるのであります